知的発達症
知的発達症(知的障害)は、知的な能力や日常生活に必要なスキルが年齢相応に発達しない状態です。この障害は、学習や問題解決、社会生活のスキルに影響を与えます。例えば、学校の勉強が他の子どもよりも難しく感じたり、日常生活での簡単なことでも助けが必要になることがあります。また、仕事をしている場合には、仕事の指示を理解するのが難しかったり、新しいスキルを習得するのに時間がかかることもあります。
知的発達症は、子どもの成長過程で気づかれることが多いです。赤ちゃんの頃から言葉を話し始めるのが遅かったり、歩くのが遅かったりすることで気づかれることもあります。就学後、授業の内容を理解するのが難しかったり、友達とのコミュニケーションがうまくいかないことでも明らかになることがあります。
診断には心理検査も用いられますが、心理検査の結果は絶対的な指標ではありません。一般的にはIQ(知能指数)が70未満の場合に知的発達症と診断されます。しかし、IQだけでなく、日常生活での適応行動も評価の重要なポイントです。適応行動とは、食事や着替え、対人関係などの日常的なスキルのことです。
知的発達症には軽度、中等度、重度、最重度の4つのレベルがあります。軽度の場合、日常生活の多くの場面で自立が可能ですが、複雑な課題や社会的判断が難しいことがあります。中等度では、基本的な日常生活は可能ですが、社会的スキルや学習面でのサポートが必要です。重度と最重度の場合、日常生活の多くの場面で支援が必要で、専門的なケアが求められます。もし、知的発達症に伴う強い不安や行動の問題などの症状があれば、薬物療法の適応となることもあります。
医療機関のみではなく、家庭や学校、職場が連携し支援することが大切です。症状により困難を感じることがあれば、お気軽にご相談ください。