自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害、ASD)は、人とのコミュニケーションや対人関係の取り方に特徴があり、特定の物事への強い興味やこだわり、変化への苦手さなどがみられる神経発達症の一つです。
神経発達症とは、子どもの頃からみられる発達上の特性に関連する疾患の総称で、ADHDや限局性学習症なども含まれます。
「スペクトラム」という言葉が示すように、特徴の現れ方や程度、得意なこと・苦手なこと、必要な支援は人によって大きく異なります。ASDの特徴は幼少期からみられますが、その現れ方や生活上の困りごとは、年齢や環境によって変化します。
主な特徴
ASDでは、次のような特徴がみられることがあります。
コミュニケーション・対人関係
- 相手の気持ちや意図を読み取ることが難しい
- 会話のやり取りや雑談を苦手に感じる
- 暗黙のルールや曖昧な表現を理解しにくい
- 人との距離の取り方が分かりにくい
- 視線を合わせることが苦手な場合がある
こだわり・感覚などの特徴
- 特定の物事に強い興味や関心をもつ
- 決まった手順や予定を好み、急な変更を苦手とする
- 同じ行動を繰り返すことがある
- 音、光、におい、触感などに敏感なことがある
- 反対に、感覚への反応が弱いこともある
すべての特徴がみられるわけではなく、その組み合わせや程度は一人ひとり異なります。
子どもと大人での現れ方
子どもでは、友達とのやり取りがうまくいかない、集団行動を苦手に感じる、予定の変更で強く混乱する、特定の遊びや物事に強くこだわる、音や触感などを強く嫌がるといった形で現れることがあります。
ことばの発達に遅れがみられる場合もありますが、ことばの発達に大きな問題がなくても、会話のやり取りや相手の意図を理解することに難しさがみられる場合があります。
成人では、職場で曖昧な指示を理解しにくい、人間関係の距離感に悩む、予定外の変更に強い負担を感じる、音や光などの環境に疲れやすいといった形で困りごとが現れることがあります。
診断について
ASDの診断では、現在の困りごとだけでなく、幼少期からどのような特徴がみられていたかを確認することが重要です。
診察では、現在の生活状況や対人関係、こだわり、感覚の特徴などを確認し、必要に応じて家族からの情報や幼少期の様子なども参考にしながら総合的に判断します。
また、ADHD、限局性学習症(学習障害)、知的発達症(知的障害)など、ほかの発達上の特性を併せ持つこともあります。 不安、気分の落ち込み、睡眠の問題などがみられる場合もあるため、現在の困りごとを含めて全体を確認します。
※当院ではWISC・WAISなどの心理検査・発達検査は行っておりません。
治療・支援について
ASDでは、本人の特性を理解し、生活しやすい環境や方法を考えていくことが支援の中心となります。
家庭・学校・職場では、予定や指示を分かりやすくする、見通しを持ちやすくする、感覚的な負担を減らすなど、本人の特徴に合わせた環境調整が役立ちます。
小児では、必要に応じて療育、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、保護者への支援などが行われることもあります。
また、十分な睡眠、規則的な生活リズム、体調に応じた運動、規則的で偏りの少ない食事など、生活習慣を整えることも大切です。不安、気分の落ち込み、ADHD症状、強いイライラなどを伴う場合には、必要に応じてそれぞれの症状に対する薬物療法を検討します。
受診を検討されている方へ
人とのコミュニケーションや集団生活、強いこだわり、予定の変更、感覚の過敏さなどのために、学校・仕事・家庭生活や人間関係で困っている場合はご相談ください。
18歳以上の方は成人初診、小学生~17歳の方は児童精神科初診からご予約ください。
